富山プロダクツ

助野株式会社

PROFILE
1956年に靴下専門卸商として富山県高岡市で創業し、1958年に助野靴下株式会社を設立。1968年に東京支店、1972年に大阪支店を開設。1981年に高岡工場で靴下生産を開始し、1988年には中国錦州で第一工場での生産を開始。その後もタイに2つの工場、アメリカにも現地法人を設けるなど海外に積極的に展開。助野の海外工場の生産出荷量は世界トップクラスを誇る。主な取り扱い商品として、ブランド靴下、キャラクター靴下、機能性素材靴下、ギフト用靴下、レギンス、トレンカなど多数。

若者のアイデア、
異業種とのコラボで次の市場へ。

じつは誰もが履いている、助野製の靴下

富山県高岡市。北陸新幹線の新高岡駅から車で5分ほどのところに、助野株式会社の本社がある。繊維業の卸問屋が栄えた高岡で、助野は1956年に靴下専門卸商として創業。現在では靴下やレギンスなど、多彩な商品の企画から製造・販売・物流までをトータルに手がける。年間で約1億3千万足の靴下を国内外の自社工場、協力工場で製造する、レッグアパレルメーカーのトップブランドだ。「中国、タイの海外工場や上海、アメリカにも拠点があるほか、国内には高岡、東京、大阪に営業と企画部門があります。また、高岡にはサンプルをつくる高岡工場を併設し、スピーディーな企画開発・製造が可能です」と、同社専務取締役の古家基治さんは語る。
得意先には、誰もが知る大手衣料専門店のほか、大手生活雑貨チェーンなどがあり、ビジネスの領域はさまざまな分野に広がりつつある。そのきっかけをつくったのが、2014年2月の東京インターナショナル・ギフト・ショーで発表され、2015年の富山プロダクツにも選定された「寿司そっくす」だ。

「寿司そっくす」の誕生秘話

ギフト・ショーで大きな反響を呼び、各種メディアやSNSでも取り上げられ話題となった「寿司そっくす」。高岡の商品企画部に所属する西本由華さんが、海外からの観光客向けのお土産品として考案したものだ。
「初のギフト・ショーに向けて、商品企画部全体でこれまでにない面白い企画を考えることになり、靴下を丸めたり、畳み方をいろいろと試しているうちに、にぎり寿司の形を見つけたんです」。イクラ、玉子、海老、タコ、富山名産のます寿司などの7種類の柄をデザインしたほか、前年に和食が世界遺産に登録されたタイミングも考慮し、ネタの名前を日本語で入れた。いずれもプリントではなく、助野の高い技術で、緻密な柄を編んで描き出しているのが特徴だ。
初出展のギフト・ショーで、確かな手ごたえを掴んだ助野だが、その機運は以前から着々と醸成されていたと、商品企画部マネージャーの松本崇さんは振り返る。「当社では5年程前から企画部門の若手の採用を増やし、これまでにない発想の商品が次々と提案される環境がありました。そんななかで、自分たちの好きなものを作ってみようとギフト・ショーに初参加。寿司そっくすは、既存の販売先では難しいものの、売り先を変えると面白いのではないか。インバウンドなど、日本製品への人気も意識して開発したのです」。
寿司そっくすは、成田空港や羽田空港、日本橋とやま館などのほか、アメリカ、ヨーロッパでも販売されて人気となっている。そして、寿司そっくすのヒット後、助野では、さまざまなギフトソックスを企画開発。父の日用にゴルフコースやボールをデザインしたもの、ピザやドーナッツ、新幹線の形をした「のりものそっくす」、「おにぎりソックス」「舞妓ちゃんくつした」など、ユニークなデザインと立体感のあるパッケージが楽しい。

国内でも実生産へ

高岡本社には、デザインを担当する商品企画部と同じ建屋内に、最新鋭のイタリア製の編機が並ぶ高岡工場がある。ここでサンプルを調整したデータは海外の工場に送られ、実生産へ。日本でデザインしデータをつくることによって、国内の顧客に対応した、高品質でスピーディーなものづくりが可能となる。また、企画部門のスタッフも、入社後は工場で数ヶ月の研修を必ず受ける。実際に機械を動かし、靴下づくりを現場で学ぶことによって、実生産に合ったデザインができるようになるのだ。
現在は90%以上が海外生産だが、今秋からは高岡工場の機械の台数を増やし、実生産も行う予定。これによってインバウンドに対応した、付加価値の高い日本製品づくりを目指す。(助野では企画部と工場を合わせて「本社ラボ」と呼んでいる。)

 

異業種との交流と、若者にチャンスを

ギフト用品という新分野に乗り出した助野だが、同社の主力商品は、やはりノーマルなタイプの靴下だ。品質の良さ、さまざまな機能性や素材感で多くの顧客の信頼を得てきた。
「しかし、この先、人口減少により経済が縮小する日本で、発展を目指すには何か新しいことに取り組むことが必要です。2013年に助野靴下から助野に社名変更したのも、レギンスやタイツなど、足回りの商品を拡大していくため。ギフト・ショーで視野が広がったように、国内にはまだまだ可能性はあります。そして、若手社員にどんどんチャンスを与えることで、想像以上の結果が返ってきています。それがまた、彼らの今後のモチベーションにつながっていくと思います」と古家専務は語る。
助野では、海外企業との取引を積極的に進めるほか、地元の富山大学芸術文化学部や県総合デザインセンターとの共同授業、近県の大学院との共同開発にも着手予定。松本マネージャーは、「異業種との交流をこれから積極的に増やし、違う分野に踏み込んでいくことで、靴下の概念を変えていきたい」と意気込む。ユニークな発想で、まだ誰も見たことが無い商品開発に挑む助野。若者たちの力を引き出し、異業種と交流するなかで、次への扉が確実に開きはじめている。